研究概要 |
本年度は,景観法制定前後の景観形成基準文の変化に関する分析のために,分析対象の39市について,景観行政団体への移行状況,景観計画策定状況などを,既に,景観計画を策定している団体については景観計画の収集を行い,景観形成基準の見直し状況について調査した.国土交通省のホームページ(平成21年12月1日時点)に基づき調査したところ,39市のうち33市が景観行政団体になっており,25市について景観計画が策定されていることがわかった.次に,景観計画を入手することができなかった日田市を除く24市について,景観計画の中で景観形成地区と同等の地区指定制度を設けているか否かについて調査を行なった.その結果,24市のうち2市(浜松市,佐賀市}は景観計画に地区指定制度が記述されておらず,22市については景観形成地区と同等の地区指定制度が設けられていることがわかった.景観計画として,既に地区を指定している市が19市,地区指定制度を設けているが,地区を指定していない,若しくは景観計画に記述のない市が3市(秋田市,高崎市,川崎市)あることがわかった,景観計画として地区指定を行っている19市では景観法制定前に70の景観形成地区が指定さていた.その70地区の新旧景観形成基準の比較分析のために,旧景観形成地区と新景観形成地区の同定作業を行い,70地区中48地区については地区名称に基づいて同定をすることができた.ただし,藤沢市の辻堂熊ノ森景観形成地区と湘南通り地区は合併して辻堂熊ノ森景観形成地区となっているため,新地区として抽出された地区は合計で47地区となった.この同定できた47の地区を対象に,景観形成基準の見直し状況を調査し,景観形成基準の見直しが行われている地区が27地区,見直しが行われていないものが20地区となった.つまり,概ね半数の景観形成地区の景観形成基準が変化していることがわかった.
|