研究概要 |
1個別建築についての研究 (1)陸軍兵舎 明治6年の「兵営略表」とその付図が、同時期に各地に建設された兵舎の標準設計である可能性があることを指摘した。 (2)裁判所 明治41年に建てられた熊本地方裁判所の煉瓦造の庁舎について、実測図等をもとに、全国の庁舎と比較しつづ、その特徴を考察した (3)陸軍施設 明治42年に建設された第六師団兵器庫について作成した復元図をもとに、全国の兵器庫との共通点相違点等を考察した。 2洋風建築関係技術者建 築技術者の経歴を「職員録」「日本建築学会住所姓名録」等より収集した。 3全体的考察 熊本県における明治期の洋風建築を、最初期、陸軍、逓信、裁判所、国の学校、県庁舎、県の建築、鉄道、宗教、工場、その他の11分野に分け、洋風建築の普及過程について考察した。その結果、以下のことが判明した。 (1)熊本県における洋風建築の導入ルートには、長崎ルートと東京ルートがある。そのうち、東京ルートに先んじて長崎ルートにより洋風建築が導入された。しかもそれは熊本側が能動的に導入した。 (2)明治10年代までは、擬洋風建築の時代であった。 (3)明治20年前後、熊本県庁、第五高等中学校、熊本郵便電信局という本格的洋風建築が相次いで建築された。 (4)それ以降、様々な分野において洋風建築が普及した。 4報告書作成 上記の全体的考察等を報告書として作成(A4,446頁)し、関係研究者及び地元マスコミに配布した。
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