研究概要 |
次々世代デバイスは,いずれもナノスケールでの現象が基本となっている.このことを踏まえて,本研究では電気伝導計測と電子顕微鏡(TEM)観察との同時実験を可能にする装置を開発し,電子デバイス研究に応用することを主眼とする.所謂「TEMその場計測技術」に関する開発研究である.研究2年目(H22)においては,前年度において開発した装置および制御システムの改良とこれを用いたデバイスへの応用を行った.主な結果についての詳細を以下に記す. (1)微細磁化構造・電気特性同時評価用TEM試料ホルダー:デバイスへの回転磁場印加がこのホルダーの特長である。前年度に開発したソフトウェアの改良を行い、スムーズな方位変化の磁場印加が可能になった。これにより,軟磁性薄膜パターン・テストデバイス(NiFeディスク,NiFe円環)における磁化構造の円滑な変化の観察を可能にした。これらの結果を,国内外において発表した.(2)電気測定同時評価用TEM-STM試料ホルダー:前年度に作製したホルダーおよびシステムを用いて,抵抗変化型メモリー(ReRAM)に適用した.針状電極上に作製したNiOおよびGe-S-Cu固体電解質薄膜を用いて,抵抗変化時の構造変化観察に成功した.これらの結果を国内外会議における講演および学術論文として発表した.(3)LTEM実験パターンの作製:電子線リソグラフィーを用いてサブミクロンサイズの磁性円環パターン,磁気論理素子パターンの作製プロセスを立ち上げた.これにより上述の(1)および最終年度の研究を円滑に遂行可能となった.(4)低温電気特性評価用TEMホルダーの作成:LTEM研究を軟磁性グラニュラー薄膜へと応用範囲を広げるための開発である.ほぼ液体窒素温度(-185℃)における磁気抵抗効果測定と磁化構造観察の同時実験が可能となり,最終年度の研究に活用できる目途がついた.
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