TEM-ALCHEMI、STEMによる構造解析手法を開発し、熱電変換材料であるミスフィット型層状酸化物Ca_3Co_4O_9に適用するとともに、熱電特性の測定を行った。試料に添加元素を加えると、ゼーベック係数、電気伝導度には大きな変化は見られなかったが、熱伝導度が減少し、その結果無次元性能指数ZTが増加した。Srを添加した試料に対しSTEM HAADF像を測定した結果、Srのほとんどが岩塩層中に置換し、熱伝導の低下に寄与した。さらにSTEM EELSによりCoO_2層及び岩塩層におけるCoの価数を測定した結果、それぞれ+ 3. 48±0. 10価、+ 3. 02±0. 08価となり、Srを添加しない試料とほぼ等しくなった。本研究により、Srの岩塩層への固溶がCo価数を変えずゼーベック係数を低下させることなく、熱伝導率を減少させZTを向上させることが明らかとなった。
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