研究概要 |
本研究では様々な基板上に厚さの異なるM_gB2薄膜を作製して,その超伝導臨界温度(T_c)を評価し,膜厚の厚い試料のTcが薄い試料のT_cより高くなることを明らかにした。この原因は基板界面ではM_gB2薄膜の結晶性が十分でないことに起因している。これらの結果から,超伝導/常伝導積層構造薄膜のTcに結晶性が影響していることが示唆された。しかしながら, M_gB2/Ni多層膜の断面透過型電子顕微鏡観察結果ではNi層を挟んで上下のM_gB2結晶に結晶性の違いは認められないことから,超伝導/常伝導積層構造薄膜のT_cの決定要因にはまだ未知の要因も絡んでいるものと考えられる。また,本研究の研究に関連してAl基板上に結晶粒径を小さく抑えて作製したM_gB2薄膜の超伝導臨界電流密度(J_c)が10Kにおいて10 MA/_<cm> 2と極めて高いことを見出した。この値は新しいタイプの超伝導線材の可能性を拓く結果であり,実用化に貢献する価値ある結果であると考えられる。
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