研究概要 |
15種類あるランタノイドLnのうち、La,Nd,Sm,Eu,Gdの5つについて、そのオキシ水酸化物LnOOHの良質な結晶の合成条件を明らかにした。これらのオキシ水酸化物のうち、GdOOHは蛍光体のホスト相として利用可能であると考え、赤色発光中心であるEu^<3+>をドープしたGd_<1-x>Eu_xOOH(x=0~0.5)の結晶を合成した。得られた結晶は、最大で長さ1.2mm程度の板状となった。粉末X線回折のデータを用いたRietveld法による解析により、得られた結晶は全組成範囲で空間群P2_1/mの単斜晶であり、Eu^<3+>の含有量の増加に伴い単位胞の体積が増加した。波長617nmで測定した励起スペクトルにおいては、x=0.1以下の低濃度領域で、蛍光中心の直接励起による蛍光がxの増加に伴って増加した(励起波長350nm以上の領域)。一方、励起波長が315nm以下の領域では、ホスト相からのエネルギー移動の効果が観測されたが、この効果には組成依存性がほとんど見られないという特異なスペクトルを見出した。絶対PL量子収率測定装置により測定した励起波長243nmにおけるGd_<1-x>Eu_xOOHの量子収率は、x=0.1において最大27%となり、水酸基を含む化合物としては高い値を示すことを明らかにした。また、x=0.2以上になると濃度消光により量子収率が急激に減少したが、これらの挙動についてパーコレーションモデルを用いた解析を行った。
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