研究課題/領域番号 |
21560696
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐俣 博章 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (90265554)
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研究分担者 |
武田 実 神戸大学, 海事科学研究科, 教授 (50206992)
永田 勇二郎 青山学院大学, 理工学部, 教授 (90146308)
小澤 忠 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (90450288)
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キーワード | 結晶成長 / オキシ水酸化物 / 光物性 |
研究概要 |
本研究では、独自に開発した結晶合成手法を駆使してランタノイドのオキシ水酸化物の良質な結晶を合成し、その物性評価と解析を行った。特に、ガドリニウムGdのオキシ水酸化物GdOOHは、アルカリ雰囲気下で高い化学的安定性を有するため、特殊用途の蛍光体ホスト相としての利用が期待できる。我々の前年度までの研究で、同物質に赤色発光中心となるユウロピウムEuイオンを置換したGd_<1-x>Eu_xOOH結晶は、高い量子収率(最大27%)を有することが明らかにされ、パーコレーションモデルを用いた解析により、Euイオン間の距離を変化させることで、量子収率を改善できることが示唆されていた。この結果を受けて、ホスト相中のGdサイトに、イオン半径の異なるイットリウムYやランタンLaなどの希土類イオンを同時置換した結晶を合成し、その結晶学的性質と量子収率を含む蛍光特性を評価することで、同系における希土類元素の同時置換効果を評価した。 作製した同時置換型物質の結晶構造は、全組成範囲で空間群P2_1/mの単斜晶となり、その単位格子体積は同時置換した元素の含有量に依存して変化した。ところが、同時置換した元素のイオン半径の大小によらず、結晶中に導入されたひずみ等により、いずれの場合でも量子収率が置換量に依存して低下した。一方で、元素の同時置換によるひずみの発生が少ないと考えられるLa_<0.9>Eu_<0.1>OOHでは、その量子収率が32%となり、Euイオン間の距離をわずか数%変化させることで、量子収率が改善できることが実験的に明らかにされた。以上の結果から、ひずみの少ない結晶構造を有し、かつ蛍光イオン間の距離をさらに大きくすることができれば、さらなる蛍光特性の改善が可能であると結論した。
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