21年度については、二元細孔構造を有するシリカゲルを工業的に作製することを目的として水ガラス-ドデシル硫酸ナトリウム系におけるゲル作製と相分離機構の解明を行った。さらにシリカ系の材料について、シリカチタニア複合酸化物系におけるチタニア分散性の制御法の検討を行い、原料や調製条件による分散性の変化の挙動とその機構を明らかにした。また、チタニアについても二元細孔構造を有する多孔体を作製し、その触媒担体としての有効性の検証を進めた。具体的には、Niを担持したNi/TiO2触媒を作製しその水素化活性の評価から、特にゾルゲル法で作製したNi/TiO2触媒がC=CとC=Oの二重結合の水素化能において高いC=C選択性を有することが明らかになった。 シリカゲルに有機高分子を複合化した材料を作製し、その構造制御と触媒活性評価を行った。二元細孔シリカの細孔内でスチレンの重合でポリスチレンを作製する際に、溶媒の種類と量によって、生成するポリスチレンのマクロ孔-メゾ孔の分布状態の制御を可能にするとともに、スルホン基を導入することでブレンステッド酸性を有する固体触媒を作製できた。ポリスチレンの担持量とともに複合体の強度が増加し、また、マクロ孔内のモルフォロジーも制御できた。 平行して、希土類酸化物を中心にポリオールの脱水活性に活性のある固体触媒の探索を進めた。その結果、ジオールから不飽和アルコールへの選択脱水活性を有する触媒系を開発するとともに、グリセリンから不飽和アルコールへの選択脱水反応を進める触媒系を開発できた。
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