研究概要 |
23年度については、アルミナを基材とする二元細孔構造を有する多孔体にNiを担持した触媒を作製して、その触媒担体としての有効性の検証を進めた。Ni/Al203触媒とNi/SiO2触媒について、ゲル形成から焼成・還元過程について構造形成過程を解明し、担体の違い、作製法の違いによってNi分散性を制御できることを明らかにした。特にNi/Al203触媒は新規合成された触媒であり、Ni担持量、メゾ細孔構造、マクロ細孔構造、を任意に制御できることを確認し、さらに還元挙動に加え還元試料の構造評価を精密に行うことで、優れた分散性を有することを確認した。また、Ni/Al203触媒上でのメタンの水蒸気改質活性を調べ、原料供給速度が高く表面反応速度の高い条件における触媒活性の速度論的な解析を二元細孔の有無という観点から検討した結果、二元細孔構造により物質輸送が向上して固体表面と気相との接触が効果的に進み、活性の向上が見られることが明らかになった。 シリカゲルに有機高分子を複合化した材料を作製し、その構造制御と触媒活性評価を行った。二元細孔シリカの細孔内でスチレンの重合を行い複合化した材料にスルポ基を導入し有機無機複合固体酸触媒を作成した。この触媒は,4-ブタンジオールからのテトラヒドロフランへの選択的脱水反応において、非常に高い活性を示すが、反応蒸留法によって反応速度解析を行い、マクロ孔を有する階層構造によって触媒表面が効果的に利用されていることを実証した。 以上のように目的、実施計画にのっとった成果を上げることができた。
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