研究概要 |
高純度SiO_2のみからなるシリカガラスは機械的強度,化学的耐久性,熱的安定性,真空紫外域から近赤外域における高い光透過特性を有することから,ガラス表面上へ微細加工技術が容易に付与できれば,次世代のフォトニクス産業を担う基盤材料として期待される。シリカガラスは高温製造プロセスを用いて作製されるため,従来技術の代替となる低温製造法の開発が求められている。本年度はマイクロインプリンティングシリカガラスの開発に重要なSiO_2-PVAナノコンポジットガラス前駆体作製法の研究を行った。その結果,SiO_2-PVAサスペンション中のSiO_2とPVAの分散・凝集状態および乾燥して得られるナノコンポジットの平均細孔径(5~30nm)が,サスペンションの組成およびpHに依存することを明らかにし,亀裂の原因のひとつが前駆体の乾燥過程での毛細管力に起因することを考察した。その考察に基づき,サスペンションの組成とpHによりガラス前駆体の細孔径を制御し,亀裂の生じないナノコンポジットを得る条件(SiO_2-PVA=4,pH=2~4)を提案した。更に,マイクロインプリント後のガラス成形体を焼結するための焼結条件としてT-T-T図(温度-時間-相変態)を作成した。結晶化開始温度ならびに時間は以上シリカガラス中に含有されるシラノール基の含有量に依存した。焼結過程におけるガラスの構造変化を高温UVラマン分光その場観察装置を用いて観察した。
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