研究課題
セラミックスなどの材料の微構造組織制御において、機能に即した構造をデザインするために層状構造と結晶方位を組み合わせることは有用であり、特に結晶方位は重要な因子となる。本研究においては、(1)熱膨張係数の異方性に依存した残留応力を導入することによる亀裂偏向の制御、(2)亀裂進展方向と壁開面の方位関係の制御、(3)粒界性格の違いによる亀裂進展性の制御、の3点に着眼した亀裂進展過程の解析により、単一組成での靭性などの機械特性を改善するための微構造組織をデザインすることを目指している。強磁場中電気泳動堆積法を用いた配向積層アルミナの作製において、機械特性を解析するための試験に必要な大きなサイズの試料を作製したところ、堆積直後や乾燥時に成形体に亀裂が生成する問題が生じた。そこで、成形体の乾燥速度を制御することにより亀裂の発生を防ぐ目的で溶媒をエタノールと水の混合溶媒とし、このときの水の含有量が成形性、配向に及ぼす影響について検討した。スラリー中の水の含有量が40vol%以上になると配向性が劣化することが明らかなった。電場と磁場の印可方向のなす角が0度となる0度層と90度層を交互に堆積させた場合には、90度層では引張りの残留応力となるために、亀裂がこの層に入るときには界面に垂直に進展するが、0度層では圧縮残留応力となり、この層に亀裂が入るときには界面に対して角度を持って進展することが分かった。また、圧縮残留応力層から引張残留応力層へ亀裂進展したときには、その逆よりも亀裂偏向の角度が大きくなった。亀裂偏向には圧縮応力層よりも引張応力層の寄与が大きく、引張応力が大きくなるように層厚を調節することで偏向角が大きくなることが明らかになった。層厚と配向方位の制御により残留応力の大きさを変えることで、亀裂の偏向角が制御可能であることを実証した。
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