研究概要 |
本研究の目的は,リラクサー強誘電体などの巨大強誘電物性機能について,その原子レベルでの構造解析と機能発現メカニズムを解明することを目的とし,高精度の第一原理計算と高精度実験を組み合わせた包括的な研究を実施し,巨大な強誘電物性のメカニズムを解析,解明することにあり,提案者らは,本研究3年度である,平成23年度に【大規模分子動力学シミュレーションソフトウエアの開発】,及び【巨大強誘電物性発現メカニズムの解明】につき重点的に検討を行うことを計画し,実行した. 【大規模分子動力学シミュレーションソフトウエアの開発】 平成23年度の取り組みにより,有限温度での大規模分子動力学シミュレーションに関してその開発をほぼ完了し.強誘電体材料のBaTiO3の有限温度物性特に温度による相転移挙動を再現できるレベルに到達し,BaTiO3正方晶相での巨大な分極揺らぎが再現できた.これにより,分極揺らぎによる巨大強誘電物性の原子レベルでのシミュレーションが可能となった. 【巨大強誘電物性発現メカニズムの解明】 本研究により,誘電体材料のPhonon計算を高精度に決定することが可能となった.これらを用いて,これまで強誘電相の構造が決定できていなかった,CdTiO3のPhonon計算を実施しソフトモードとその変位ベクトルを高精度に決定し,そのソフトモードから導かれる強誘電相の構造を決定した.これらの成果について論文投稿しPhysical Review Bに掲載された.
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