前年度までに、「ナノ粒子高密度集積化ポリマーナノコンポジット」作製のための要素技術((1)ナノ粒子高充填ナノファイバー集合体作製技術、(2)ナノファイバー基複合成形体作製技術)を確立した。これにより、ナノファイバー技術によりナノ粒子分散モルフォロジーを高度に制御したナノコンポジットの創製が可能となった。本年度の目的は、上記ナノコンポジット作製技術を利用し、昨年度作製したアルミナ粒子充填複合成形体の熱拡散率1.7x10^<-7>m^2/sを如何に向上できるかに取り組んだ。具体的には、(1)マイナス電源を用いたナノファイバーの高密度化、(2)回転ディスクコレクターを用いたナノファイバーの配向化により、さらなるナノ粒子の高密度集積化を目指した。その結果、熱拡散率を約2.0x10^<-7>m^2/sにまで増加させることに成功した。これにより、ナノ粒子を高密度に集積化したポリマーナノコンポジットの創製技術を確立したばかりでなく、それにより、限られたナノ粒子充填量により高い熱拡散率を達成できることを実証した。本研究において得られた成果は、熱伝導性のみならず、電気伝導性、機械的特性など、ナノ粒子の分散性に依存するあらゆる物性に対して有効なナノコンポジットに関わる知見であると考える。
|