研究課題/領域番号 |
21560722
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤谷 渉 大阪大学, 工学研究科, 技術専門職員 (90379149)
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研究分担者 |
中野 貴由 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30243182)
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キーワード | 下顎骨 / アパタイト配向性 / 骨質評価 / 咀嚼 / 咀嚼障害 / 微小領域XRD / 骨微細構造 / in vivo応力 |
研究概要 |
臨床的に歯科インプラントを考える場合、顎骨の骨微細構造を理解することは極めて重要である。本研究では、ラット下顎骨およびビーグル犬下顎骨を用いて咀嚼および咀嚼障害モデルを作製し、骨微細構造の変化を結晶学的に解析することを目的とした。咀嚼障害モデルの作製はラットの場合、上顎第1臼歯を4週齢から定期的に削り取り、下顎第1臼歯への接触を避けることで咀嚼による負荷を排除した。一方、ビーグル犬の場合、8ヶ月齢において下顎の犬歯以外の臼歯をすべて抜歯し咀嚼による負荷を排除した。各期間飼育の後、下顎骨を摘出し正常な咀嚼状態のモデルとともに測定試料とした。 本年度は最初に各週齢および月齢における正常および咀嚼障害モデルの作製を行った。ついでμCTを用いて摘出した下顎骨の形状観察と切断面の観察を行うとともに、pQCTを用いての骨密度測定などを行った。その後、近遠心方向に垂直な臼歯を含む断面内にて、微小領域X線回折法で骨微細構造の変化を定量解析するために、最適な測定部位の選択およびX線回折条件の確立を行った。骨微細構造の評価は生体アパタイト結晶(BAp)のc軸およびa軸に起因するそれぞれの反射ピークを用いてX線回折図形から(002)/(310)回折強度比を算出し、BApのc軸配向性(骨質評価の指標)として定量評価した。その結果、下顎骨のc軸配向性は近遠心方向に主軸をもちin vivo応力分布の変化や骨系細胞挙動に対して極めて敏感に変化する骨質指標であることが明らかとなってきた。特に咀嚼荷重は、歯根直下部での配向性を制御する重要な因子であることが推察された。一方、支持歯槽骨部は主に歯を支える役割を果たしており特徴的な配向分布を示した。
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