代表申請者らが従来レーザー媒質Nd:Y_3Al_5O_<12>系で培った「焼結法による単結晶育成」技術によって平成22年度にアパタイト基本組成であるLa_<9.33>(SiO_4)_6O_2組成において単結晶育成に成功し、その再現性の確認もできたのに引き続き、Nd-Si-O系においては浮遊帯溶融法によって育成ができなかったアパタイト組成から外れたLa_<9.7>Si_6O_<26.55>組成単結晶の育成とその再現性の確認を行った。平成22年度末にLa_<9.7>Si_6O_<26.55>組成単結晶の育成に一度成功していたが、その再現性が確認できた。育成したLa_<9.7>Si_6O_<26.55>組成単結晶の酸化物イオン伝導性を測定できるように加工し、c軸に平行方向の伝導率とc軸に垂直方向の伝導率を300~800℃の温度範囲で測定を行った。その結果、アパタイト基本組成であるLa_<9.33>(SiO_4)602組成単結晶と同様に全温度領域においてc軸に平行方向の伝導率がc軸に垂直方向の伝導率よりも約2桁高い値を示し、アパタイト型酸化物イオン伝導体に特有であるc軸方向の高いイオン伝導性が観察された。多結晶体(セラミックス)ではアパタイト組成から外れたLa_<9.7>Si_6O_<26.55>組成の酸化物イオン伝導性はアパタイト基本組成であるLa_<9.33>(SiO_4)_6O_2組成に較べて約2桁高いが、本研究で育成したLa_<9.7>Si_6O_<26.55>組成単結晶の酸化物イオン伝導性は同じく本研究で育成したLa_<9.33>(SiO_4)_6O_2組成単結晶に較べて約1桁高い結果が得られた。本研究で育成したLa_<9.7>Si_6O_<26.55>組成単結晶のc軸に平行方向の伝導率は500℃で2.3×10^<-2>S・cm^<-1>であり、現在報告されている酸化物イオン伝導体の中で最も高い酸化物イオン伝導性である。
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