本研究課題では、大気中で安定な導電性高分子であるポリチオフェン系を対象として、ポリチオフェン分子間の導電機構を支配する因子を解明し、この導電機構が熱電特性(ゼーベック係数、導電率)に与える影響を基礎的に明らかにすることを目的とする。平成22年度は、二種類の導電機構とゼーベック係数の関係について検討を行ったが、いずれの導電機構でもゼーベック係数が無機材料系と比較して1/4以下と小さいことが明らかになった。そこで平成23年度は、ポリマーブレンド構造がゼーベック係数に与える影響を基礎的に検討するために、モデル材料としてキャリア濃度の異なるSiウエハーを拡散接合して、擬似的に井戸型ポテンシャルを作り、ゼーベック係数との相関について調査した。以下の結果が得られた。 1)1センチ角のSiウエハーを用いて、ウエハー切断→平坦度検査→接合の接合手順で常温拡散接合を実施した。得られた材料は、部分的にしか接合しておらず、接合温度や時間の接合条件変えても接合面積の増加は少なかった。 2)所定の接合試料を得るためには、表面研磨と処理、平坦度検査、これらの手順の迅速化が必要であることが明らかになった。
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