研究概要 |
反応性通電加圧焼結法を用いて、TiB_2-Ti(C,N)およびTiC-SiCにTiSi_2を添加してバインダー相であるTi_3SiC_2相を生成させて比較的低温で焼結することを試みた。TiB_2-Ti(C,N)系では、出発原料としてBN、Ti、TiC、SiCの各粉末を用いた。2BN+(2x+3)Ti+xTiC+xSiC(x=0-1)の組成になるようにモル比で粉末を混合し、通電加圧焼結装置を用いて、1500℃と1600℃焼結した。焼結後には、TiB_2、Ti(C,N)、Ti_5Si_3C_yの各相が生成し、Ti_3SiC_2相は生成しなかった。xの増加とともにTiB_2相が減少し、Ti(C,N)相とTi_5Si_3C_y相は増加した。xが0.3以上では、焼結中に融液の生成が認められ、焼結後割れが発生した。Ti_3SiC_2相は生成しなかったが、xが0.2以下では低温で緻密化した。 TiC-SiC系では、TiC、SiC、TiSi_2の粉末を0.7TiC+0.3SiC+xTiSi_2(x=0~0.2)の組成になるようにモル比で粉末を混合し、1600~1800℃の温度で通電加圧焼結した。TiSi_2を加えない0.7TiC-0.3SiCの場合は、緻密化するのに1800℃の高温を要したが、TiSi_2を加えると、Ti_3SiC_2が生成し、1650℃で十分緻密化した。TiSi_2の添加量が増加するほど硬さとヤング率は低下し、破壊靱性値は増加した。しかし、TiSi_2の添加が0.05と少ない場合でも、1650℃で十分緻密化するとともに、硬さとヤング率は0.7TiC-0.3SiCと比べて少し低下する程度で、破壊靱性値は増加した。生成したTi_3SiC_2は、TiCとSiC相を薄く取り巻くように生成し、バインダー相の役割を果たしていた。
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