研究課題/領域番号 |
21560738
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
泰松 齊 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授 (60125721)
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研究分担者 |
仁野 章弘 秋田大学, 工学資源学研究科, 助教 (80451649)
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キーワード | 炭化チタン / 炭化ケイ素 / 炭化チタンケイ素 / 加圧焼結 / ヤング率 / 硬さ / 破壊靭性値 |
研究概要 |
硬質セラミックスであるTiCにSiCを添加すると強度や靭性が向上することが知られている。また、SiCはTiCに比べて高熱伝導であるため、SiCの添加は熱伝導性の改善においても優れた効果を発揮する。しかし、TiC-SiCセラミックスは加圧焼結を用いても非常に焼結しにくい材料である。そこで本研究では、加圧焼結での焼結性の改善のために、TiC・SiCにさらにTiSi 2を添加し、焼結中にTi 3SiC 2を生成させ、Ti 3SiC 2の高温変形し易い性質を用いて反応焼結することを試み、TiSi 2添加による焼結性、反応生成物相、機械的性質の変化を調べた。 出発原料として、TiC粉末(平均粒径1.60μm)、SiC粉末(平均粒径0.31μm)、TiSi2粉末(平均径1.73μm)を用いた。これらの粉末を所定の組成になるように秤量し、アルミナ乳鉢で混合後、黒鉛型に入れ、通電加圧装置を用いて焼結した。得られた焼結体について、アルキメデス法で密度測定し、X線回折とEPMAを用いて生成相を調べた。機械的性質については、ビッカース硬さ、超音波パルス法により測定した弾性率、IF法により測定した破壊靭性値について評価した。 TiC・SiC・Ti 3SiC 2系セラミックスの焼結後の生成相は、報告sだれているTi-S-C系の3元状態図の相関係と一致していた。TiC・SiC系の場合、ビッカース硬さは、22.3~25.6GPaで、TiC単相の場合の21.2GPaより高い値を示し、従来から知られているように50mol%SiCで最大になった。破壊靭性値および熱伝導度もSiCの増加に従って向上した。TiC・SiC系の緻密化には1800℃以上の焼結温度が必要であったが、TiC・SiC・Ti 3SiC 2系では、1650℃で十分緻密化できた。ビッカース硬さは生成したTi 3SiC 2が低硬度であるためTi 3SiC 2の増加とともに低下したが、Ti 3SiC 2が高靭性であるためTi 3SiC 2の増加により破壌靭性値は向上した。0.5TiC-0.5SiCへの0.03~0.15TiSi 2の添加で、硬さが20GPa、破壊靭性値が6.0~6.5MPm^<1/2>の最も機械的性質に優れたセラミックスが得られた。
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