研究課題/領域番号 |
21560745
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
才田 一幸 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30178470)
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研究分担者 |
西本 和俊 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60112017)
森 裕章 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10294026)
荻原 寛之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (80455279)
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キーワード | ステンレス鋼 / 475℃脆化 / スピノーダル分解 / フェイズフィールドモデル / 凝固モード / δフェライト / 析出硬化理論 / 可視化シミュレーション |
研究概要 |
ステンレス鋼は特定の温度域において熱時効により脆化が生じることが知られており、その程度は溶接部において顕著となる傾向がある。オーステナイト系ステンレス鋼溶接部では、高温割れ防止の観点から数%のδフェライト相を含む溶接金属となるよう溶接材料設計が実施されることから、フェライト相で475℃脆化が生じることが危惧される。本研究では、ステンレス鋼溶接部(フェライト相)における時効に伴う475℃脆化を予測することを目的とした。平成23年度(最終年度)では、析出硬化モデルに基づきスピノーダル分解に伴う硬さおよび靱性変化のシミュレーションを実施した。その結果、実機供用温度561Kにおいて、SUS316L鋼FAモード凝固では約5Gsからフェライト相が硬化するが、同鋼AFモード凝固の方がスピノーダル分解は遅く、約150Gsより硬化するものと予測された。一方、ステンレス鋼を時効したときのフェライト相の硬さ変化および靭性変化を測定し、475℃脆化シミュレーション結果の妥当性を検証した。高純度30Cr-2Moフェライト系ステンレス鋼では、時効温度773Kにおいて、時効時間とともに硬さは高くなり、約40ksの時効時間において最も硬化するが、その後の長時間時効に伴い硬化は回復した。靱性値もスピノーダル分解に伴い低下するが、過時効領域では脆化が明確に回復する傾向が認められた。このような長時間時効に伴う硬化および脆化挙動は、本研究のシミュレーションによる予測結果とよく整合しており、フェイズフィールドモデルにより、ステンレス鋼溶接部における475℃脆化予測が可能であることが明らかとなった。さらに、本シミュレーションにより、ステンレス鋼多層盛溶接部における475℃脆化挙動も可視化予測することが可能であり、本検討の有効性が確認された。
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