研究概要 |
p型4H-SiC上の電極がオーミック特性を発現するには,TiとAlを順に積層成膜した後に熱処理を施すことにより,SiCに接してTi_3SiC_2相を層状に形成する必要がある.このときの蒸着膜とSiCの界面反応挙動,ならびに電極とSiCのコンタクト通電特性を調べ,それらの相関を明らかにした. SiC上にTi/Al二層膜を積層成膜しただけの状態では,電極はオーミック特性を示さない.これを,当グループで開発した多段ステップ昇温熱処理法の第1段目である均温化ステップまで昇温しても,コンタクト通電特性はほとんど変化しない.さらに第2段目である積層膜間反応によるTiAl_3形成ステージまで昇温すると,SiC/TiAl_3界面が形成されることにより通電特性が変化し,整流性が低減されるがオーミック特性は得られない.第3段目のSiC/TiAl_3界面反応によるTi_3SiC_2層形成ステージまで昇温すると,SiCはTi_3SiC_2層と接することとなり,オーミック特性が得られる. しかし,一方で新たな課題も明らかになった.多段ステップ昇温熱処理法は(001)面を表面方位とするSiCウェハのSi極性面に対してはTi_3SiC_2相を層状に形成することができるが,C極性面や(110)面をはじめとする非極性面ではオーミック特性が得られない.これは,SiCとTiAl_3の界面反応にはSiCの結晶方位に依存した異方性があることを示している.この異方性を考慮した界面反応制御が求められる.
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