研究概要 |
水溶液からのZnとTeの合金電析に関して、ZnTeがZn(OH)_2を媒介してUPDにより電析可能であることが知られている。しかし、Zn(OH)_2が電解浴中に過剰に存在すると電解浴が白濁、劣化する問題がある。一方、2つの電位を交互に印加するパルス電解法を用いれば、TeとZnの単相を層状に積み重ねた状態で析出可能である。それぞれ単相で析出させるため、Zn(OH)_2を媒介とするUPDプロセスは不要となり、浴の安定性と析出速度の向上が期待できる。さらに熱処理を行い、ZnとTeを固相内拡散させればZnTe相が得られると推定される。そこで、本研究ではパルス電解法によるZnTe合金電析の最適条件を調べることを目的とした。陰極に銅箔またはITOガラスを用いて定電流電解法により分極曲線を測定し、Teの析出電位とZnの析出電位を決定し、その後、パルス電析法に用いるOn-time電位とOff-time電位を決定した。得られた試料についてX線回折実験、EDX元素分析を行い、ZnTe単相が得られる電析条件を決定した。また、得られた試料を真空焼鈍用電気炉で300℃、240min真空焼鈍を行った。-0.6Vの試料をTe電析電位(Off-time電位)、-1.2VをZn電析電位(On-time電位)に決定した。XRDによる相の同定において、Te,ZnTe,ITO相に基づく回折ピークが確認された。Duty Cycle O.01~0.05の試料において、いずれもZn相に基づく回折ピークは確認されなかった。これにより、今回のDuty Cycleで作製した試料はTeリッチの状態であることが予想される。熱処理前には確認できなかったZnTe相に基づくピークが熱処理後にはDuty CycleO.02,0.05の試料では明確に確認された。Duty Cycleを大きくすることでZnTe相に基づくより強い回折ピークが得られた。
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