研究課題
本研究の目的は、新しい塑性加工プロセスとして"レーザー衝撃法"を提唱し、この手法を用いてこれまで容易に成し得なかった塑性加工を行い、かつ微細組織形成過程を定量的に解明することである。高強度レーザーを物質に照射すると、アブレーション時の反跳力によって物質表面に衝撃波が駆動され、固体内を伝播する。このレーザー衝撃波によって、従来法では困難なCuやAlの変形双晶形成が可能である。レーザー衝撃プロセスによって高密度格子欠陥の導入が容易に可能であるが、レーザー衝撃プロセスによる微細組織形成過程は定量的に調べられておらず、理解されていない。今年度は、フェムト秒レーザー駆動衝撃波が純アルミニウム試料表層から数百umまでの領域の結晶に及ぼす影響を調べた。大気中でフェムト秒レーザーを照射した純アルミニウムを、フッ酸により腐食し、光学顕微鏡で結晶粒径を測定したところ、変化は見.られなかった。電子線後方散乱回折法によって照射部近傍の結晶方位変化を調べたところ、深さ20umから30umの領域の結晶方位が変化していることがわかった。透過電子顕微鏡で照射部近傍の組織を観察したところ、高密度な転位の集合体が確認された。電子線マイクロアナライザ法を用いて酸素の元素分析を行ったところ酸素は検出されなかったので、硬化に寄与するのは酸化物では無く、加工硬化であることが示された。フェムト秒レーザー駆動衝撃圧力負荷による高密度転位の導入は、高ひずみ速度塑性変形、ならびに急冷効果により達成されると考えられる。
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