光学レンズ用ガラス基板や磁気ディスク用基板など、ガラス材用研磨材としては酸化セリウム(セリア)が汎用されている。セリアは、シリカ系やアルミナ系の研磨材に比べて硬度は低いが、その格子欠陥とガラスの間にCe-O-Si結合が形成される化学作用によって、他の研磨材では得られない研磨特性を示す。しかしながら、LSIの微細化・高密度化、多層化に伴って、絶縁膜および透明導電膜等の複合絶縁膜となっている。これは柔らかくて、もろく、スクラッチが生じやすいため、研磨速度を著しく、低くしなければならない。したがって、セリア自体の化学作用のみでは、研磨速度が遅いために、研磨液に環境に負荷をかける化学作用剤を投与するのが現状である。先に、申請者らは無機材料とセルロースを複合粒子化し、表面電荷との関係から、粒子表面の機能を調節できることを確認した。さらに従来のダイヤ研磨に比較して、ポリマーの緩和作用により、シリコンウエハにリング状の加工痕を残さず、鏡面化できることが確認された。ポリマーの緩和作用が複雑な異種材料が共存するガラス面の精密研磨に良好な環境を与えると考え、 1)セルロースを用いて、セリア、酸化クロム、ジルコニアおよびダイヤなど硬質無機材料と複合マイクロ微粒子化した。表面分析を行なうことができた。 2)粒子表面に化学修飾基として、1)カチオン性の官能基、2)アニオン性の官能基、3)緩衝機能、キレート機能を有する官能基、4)粘性機能を有する親水性ポリマーを導入できた。 3)キレート機能、粘性機能、エッチング機能、酸化防止機能、緩衝能を併せもち、しかも硬・軟質度が制御されたポリマー/セリア複合球状粒子を開発した。 5)透明導電膜などのソフトな面を削る研磨材にも応用展開を図った。
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