研究概要 |
(PbO_2ナノ粒子・導電性ポリマー)コンポジットを用いた新型鉛蓄電池の作製と電池特性の評価を,次の4段階で実施した.(1)PbO_2ナノ粒子の調製と物性調査:加水分解法により粒径10nm程度のPbO_2ナノ粒子を調製し,XRD分析により結晶構造を,TEM観察により微細組織の形態を,BET法により比表面積を調査した.ここで,PbO_2ナノ粒子の粒径と形状は,添加するアルコールの種類と量により制御できた.(2)(PbO_2ナノ粒子・導電性ポリマー)コンポジットの作製:PbO_2ナノ粒子を高導電性ポリアニリンにて複合化し,(PbO_2ナノ粒子・導電性ポリマー)コンポジットを作製した.コンポジットの導電性や多孔度はドーパントや添加剤により著しく変化した.(3)新型鉛蓄電池の製造:(PbO_2ナノ粒子・高導電性ポリマー)コンポジットを正極,これを電解還元したコンポジットを負極とした,新型鉛蓄電池を製造した.(4)新型鉛蓄電池の電池特性評価:深度の定電流放電試験を実施し,Pb基合金グリッドを使用した従来型鉛蓄電池に比較して大電流・高容量化が可能か否かを検討した.二次電池の大電流・高容量化には,充放電反応における電流効率や電極活物質の利用率の向上が不可欠であり,それを評価するには,電極電位や印加電流などの電気化学的情報に加えて,電極質量の変動をμgのオーダーで正確に計測する必要がある.本研究では,デジタルマイクロ天秤の床下秤量機能を利用した質量測定システムを用い,高温・高濃度H_2SO_4中に浸漬した状態で,コンポジット電極の充放電反応における電流効率ならびにPbO_2ナノ粒子の利用率を計測・評価した.今後は,新型二次電池の更なる大電流・高容量化を目指すとともに,良好な放電特性が得られた電池の耐久性に関する長期間のサイクル充放電試験を実施する.
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