研究概要 |
独自開発した単相でありながら低温焼結性であるオキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物粉末を用いて緻密焼結体作製した。また作製した緻密焼結体を用いて電気化学交流インピーダンス法による全電気伝導度および酸素濃淡電池法による起電力測定を行い、新規固体電解質であるオキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物の電気輸送特性に関する基本特性の検討を行った。オキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物については高酸素分圧領域で僅かな電子伝導による寄与が現れるとの報告もあるが、本研究で詳細に検討したところ1000℃~500℃、酸素分圧1気圧から10^<-25>気圧で全電気伝導度が酸素分圧に依存しない電気伝導特性を示した。またオキシアパタイト型ランタンシリケート焼結体を固体電解質として用いた酸素濃淡電池起電力は1000℃~800℃,酸素分圧1気圧から10^<-25>気圧という広い条件下において、理想的な酸化物イオン伝導体のネルンスト式から求められる値と一致した。全電気伝導度測定結果と酸素濃淡電池起電力の測定結果から、オキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物は実用条件において電子伝導度が十分に低い理想的な固体電解質であることが明らかになった。オキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物の酸素濃淡電池起電力法による詳細な検討はこれまでなされていないことから、本研究の結果は特異な酸化物イオン伝導特性を有するオキシアパタイト系固体電解質の基礎イオン伝導の解明に繋がる重要な結果である。
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