研究概要 |
新規な酸化物イオン伝導体であり,難焼結性であるオキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物について,独自開発した単相でありながら低温焼結性であるオキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物粉末を用いて緻密な焼結体試料を作製し,さらに自作のHebb-Wagner型直流分極セルおよび独自の電気化学計測ソフトを組み合わせることによって,計測が非常に難しい電子伝導度測定に成功した.測定結果からオキシアパタイト型ランタンシリコン酸化物の電子伝導は正孔による伝導であり自由電子による伝導の影響は800℃~1000℃,酸素分圧1気圧から10^<-21>気圧の範囲において観測されなかった.Wagner理論を基に詳細な解析を進めたところ,正孔の部分電気伝導度は酸素分圧の1/4乗に比例することが明らかになった.また一定温度条件における正孔の部分電気伝導度値は酸化物イオン伝導度に比べて2桁以上低く酸化物イオン輸率がほぼ1である理想的な酸化物イオン伝導体であることを明らかにすることに成功した.
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