研究課題
一般的に太陽光で乾燥させた天日乾燥品がより味が良いといわれている理由として、太陽光線が関与していると考え、太陽光の中に含まれる各波長の光を照射しながら農水産物を乾燥させ、味覚に関与する遊離アミノ酸量を測定したところ、特にUV-Aを照射したサンプルにおいて増加することを明らかにした。しかし、アミノ酸がどのようなメカニズムで増加するのかは解明されていない。そこでUV-A照射によって遊離アミノ酸量が増加する要因は、タンパク質分解酵素に与えた影響なのか、それとも他の要素に影響を及ぼした結果に因るものなのかを検討した。試験管スケールの実験では、石英セルにカゼインとトリプシンを一定量入れ、UV-A照射装置でUV-Aを照射して実験を行った。基質はカゼインとし、基質量/酵素量(S/E)反応時間および照射強度を変化させてUV-Aの影響を検討した。その結果、基質にUV-Aを照射してから酵素を添加して反応させたサンプルの方が同時照射の場合よりもLowry法を用いたタンパク質濃度が若干増加し、アミノ酸量も増加した。またS/Eの値を変化させて実験しても同様の傾向であった。基質にUV-Aを照射すると、3000以下のタンパク質濃度が増加し、末端のアミノ酸量も増加するという実験結果から、UV-A照射がタンパク質分解酵素活性に影響を与えるということではなく、基質であるタンパク質構造の変性に影響を与えると考えられる。即ち、UV-A照射すると、タンパク質構造を揺らがせ、酵素が内部まで入りやすくなり、通常では切断されない箇所も酵素が切断し、タンパク質の分解が促進されると考えられる。
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6th International Symposium on Light in Horticulture, Acta Horticulturae
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