研究課題
乾燥する農水産物を食品としてみた場合、抗酸化性が増強される乾燥・貯蔵方法を開発することが重要である。そこで、大型冷蔵庫内で、ほうれん草とシソを5℃、10℃と低温に保ち、光合成光補償点付近以下の光強度PPFD10μmol/(m^2s)で各種波長の光を照射して貯蔵実験を行った。アスコルビン酸は1日間の各種波長の光照射によって1.25~1.75倍増加した。2日目になると減少に転じるが、青と緑の波長の場合、減少率が少なく、UV-Aは大きかった。特に緑色の光は赤色と青色に比べてクロロフィルの吸収が弱く、緑色単体では光合成があまり行われないと考えられが、緑色の光にはストレス性があり、UVAと同様に光合成を抑えつつアスコルビン酸を増加させる効果があると考えられる。抗酸化性に指標であるDPPHラジカル捕捉活性については、Troloxの相当量として算出した。DPPHラジカル捕捉活性は、UV-A照射は非照射の1.75倍に増加し、青、緑のような短波長の光もUV-Aと同様に1.5~1.75倍増加した。光照射によるアスコルビン酸含量変化とDPPHラジカル捕捉活性の傾向は類似しており、UV-Aのような短波長の光照射によって、乾燥時だけでなく、貯蔵時も抗酸化性物質を増加させることができることが明らかになった。これによって、冷蔵庫内の野菜の貯蔵にもUV-Aのような光照射が抗酸化性を増大させるのに有効であることが示された。また、出荷後の野菜に光照射することで品質を保ったまま栄養価の高い野菜を流通させることが可能になった。
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食品と容器
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