本研究の目的は、ナノ粒子触媒の表面特性を様々なコーティング剤により改変することにより、超臨界二酸化炭素への溶解性を自在に制御できるナノ粒子触媒を調製し、高い反応効率と容易な触媒回収が両立した触媒反応システムの構築を目指すことである。H21年度は、まず、(1)超臨界二酸化炭素へのナノ粒子触媒の溶解性の測定が可能な実験システムの構築を行った。構築したシステムは、調温機能付き窓付き耐圧セルにCCDカメラを設置したもので、セル内の正確な温度及び圧力を記録するとともに超臨界二酸化炭素中におけるナノ粒子粉末の溶解挙動を映像データとして記録することができるものである。一方、(2)触媒金属としてパラジウムに着目し、粒子調製時に様々なゴーティング剤を導入することにより様々な表面特性を有するパラジウムナノ粒子の調製を行った。アルキル鎖長の異なるコーティング剤や親水性部位を有するコーテイング剤を導入することにより、あらゆる極性の溶媒に分散可能なパラジウムナノ粒子を調製することに成功した。そこで、モデル溶媒に対する調製粒子の分散特性について検討したところ、その分散性はコーティング剤濃度により大きく変化することが明らかとなった。また、透過型電子顕微鏡により各調製ナノ粒子を観察したところ、コーティング剤濃度によりそのサイズ並びに形状が大きく変化していることが明らかとなった。このように滴切なコーティング剤の導入によりナノ粒子触媒の分散特性が制御可能であることを示した。これらの成果は、高い反応効率が期待されるナノ粒子触媒の分散性・溶解性の制御に基づく触媒反応システムの構築にとって極めて車要な知見といえる。
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