研究概要 |
申請者は,科学研究費補助金(課題番号19560751)を受けて,二重螺旋型熱交換器の優れた熱交換能力を把握し,これを反応器に応用することを目的とした。しかし,この熱交換器一層では,流路面積が小さく,十分な反応を起こせないと考えた。したがって,実際に反応実験をする前に,流路面積(反応液の滞在時間)の拡大を図るべく,この熱交換器を4層に積層した装置を用いた熱交換実験を行い,流路面積の拡大を図るとともに,熱伝達特性の定量的把握を行った。その結果,4層に積層することで十分な流路面積を得ることができた。また,反応熱の効率的な除去を行うために,蓄熱微粒子スラリーを冷媒流体として採用したが,その結果,これまでの成果と同様(課題番号19560751)に蓄熱微粒子および二次流れの効果によって,極めて高い除熱能力を有することが分かった。 今後は,積層化した熱交換器兼反応器の流動伝熱特性をさらに詳細に把握すべく,実測値の蓄積を図るとともに,実際に炭酸カルシウムの昌析反応のような発熱反応を流路内でおこし,反応熱の除去実験を行う。同時に,一般的なバッチ式反応(たとえばビーカー内での炭酸カルシウム昌析実験など)の実験も行い,得られた結晶の形状や反応温度などに考察を加える。
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