研究概要 |
申請者は,新規に開発したコンパクト二重螺旋型熱交換器を新たに反応場に応用する目的で,昨年度は流路面積拡大すなわち反応液滞在時間の拡大のために,積層型の装置を作製し,熱交換実験からその優位性を確認した。その結果,流路長さの延長による反応率の向上や反応時間の延長が十分可能であることがわかった。 本年度は,実際に流路内で反応を起こし,流路長さおよび流路の断面積が等しい直管型反応器との比較から,反応特性の優位性を確認した。反応系としては,実際の工業に応用しやすい,粒子析出反応解析や発熱反応の温度制御などが考えられるが,先ずは第一歩として,酢酸エチルの加水分解反応を取り上げ,その反応率の変化を考察した。その結果,流速がある程度速くなると,反応率が直管型反応器よりも高くなることがわかった。これは螺旋型反応器内において生じる二次流れによる混合効果が効率良く作用しているためと考えられる。 今後は,さらに異なる反応系を用いて反応速度解析を行い,二重螺旋型反応器の優位性をさらに確認すると共に,反応熱制御も同時に行うことで,優れたコンパクト反応器の開発を手掛ける。
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