研究概要 |
本研究は,プラズマ反応を用いた新しい複合ナノ粒子の創製を試み,その特性評価を通じて機能性用途の探索を目的とするものである. 上記した新しい複合ナノ粒子の原料は,TiとZrを選択して種々の組成の合金を作製した.Ti-Zr合金はTiの融点(1670℃)からZr融点(1852℃)に渡っての全ての組成について全率固溶となる合金であり,合金組成が変動しても常にTi以上の融点を連続的に変動する高融点合金であり,さらに合金構成元素は窒素との親和力が大きいという特徴がある. このような合金に窒素熱プラズマを照射して強制蒸発させ,得られたナノ粒子の形態,組成について探索した. Ti-Zr合金塊(合金組成の異なる)に窒素熱プラズマを照射して得られたナノ粒子の形態をTEM観察した結果,出発合金組成によらず,何れもNaCl型の立方晶のナノ粒子であった.また母合金組成よりナノ粒子のサイズは10-200nmの範囲に分布していることが判明した. 上記ナノ粒子のX線回折および化学分析の結果,Zrの母合金組成が50%以下ではTiNのみから構成さたれものであり,ZrNは検出されなかった.また,Zrの母合金組成が80%から得たナノ粒子のX線回折には,2θが25.42および54.39付近に不明瞭なピークが認められた.ZrがTiN中へ固溶したとも考えられるが現段階では判然としない.ZrTiN当初の予想は合金の組成変動により,ナノ粒子組成TiN-ZrNが連続的に変化と想定していた.これらの原因は合金の強制蒸発時にTiとZrの大きな蒸気圧差に起因すると考えられるが,今後の研究により解明される.
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