研究概要 |
本研究は,直流窒素プラズマを用いてハイブリット型の新しい複合ナノ粒子の創製を試み,その特性評価を通じて機能性用途の探索を目的とするものである. 本年度は21年度に引き続き,窒素と親和力が大きく,かつ沸点の差が大きく開きがある金属の組合せによる合金材料を選定した.すなわち,Ti(沸点3287℃)-Zr(沸点4377℃)合金塊に直流窒素プラズマを照射してTi-Zr-N系の複合ナノ粒子の生成条件と生成組成との関係を明らかにした. 蛍光X線分析結果から得られたナノ粒子組成は合金組成とは大きく異なることが判明した。例として,67wt%Ti-Zrおよび34wt%Ti-Zr, 12wt%Ti-Zr合金から生成されるナノ粒子組成はそれぞれ,99.3%wtTi-Zr(N)および97.5%wtTi-Zr(N), 85.5wt%Ti-Zr(N)であり,原材料の合金組成から大きくTi側へ偏る傾向を示した. また新しい組み合わせとして,窒素との親和力が大きく沸点が比較的近い合金材料を選定して直流窒素プラズマによる複合ナノ粒子生成を試みた.すなわち,Ti(沸点3287℃)と沸点が近いV(沸点3337℃)の合金塊(組成の異なる)を作製し,これらに直流窒素プラズマ照射してTi-V-N系の複合ナノ粒子生成の可能性および合金組成と複合ナノ粒子組成との関係を明らかにした. 例えば,79wt%Ti-Vおよび48.5wt%Ti-V,29wt%Ti-V合金から生成されるナノ粒子組成はそれぞれ,81.2wt%Ti-V(N)および50.1wt%Ti-V(N),29.1wt%Ti-V(N)であった.この値はナノ粒子化する前の合金組成とよく対応しており,任意のナノ粒子作製を可能にするものである.
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