研究概要 |
ポリエステル樹脂のひとつであるポリブチレンテレフタレート(PBT)について、高温水を利用するケミカルリサイクルプロセスモデル構築に必要なPBTの高温水中での分解反応、ならびに回収モノマーの1つである1,4-ブタンジオール(1,4-BudiOH)の高温水中での安定性・閉環反応についての検討を行った。この結果(1)PBTはポリエチレンテレフタレート(PET)同様、250~300℃の高温水中で分解でき、化学原料として有用なテレフタル酸(TPA)とテトラヒドロフラン(THF)が得られること、(2)回収されるTHFは、反応系内にPBTの加水分解によって生成した原料モノマーである1,4-BudiOHが脱水・閉環反応したものであること、(3)(1)(2)の反応は共に、TPAの存在によって促進されることから触媒としてTPAの利用が期待できること、が明らかになった。 また、これまでに得たPETの分解挙動の知見を基に、地域分散処理を前提とした高温水を利用するPETのケミカルリサイクルモデルを構築(処理能力1000kg/日)、コンピューターシミュレーションによる基礎プロセス部分のエネルギー計算を行った。得られた結果については、下記記載の学会誌にて発表した。今後、測定確認するTPA溶解度データならびに副生成物データを加味し、本モデルの改善を更に進める予定である。なお、遅れていた上記のTPA溶解度測定に必要な超臨界水用可視化セル(設計圧力40MPa、設計温度500℃)本体が完成したので、来年度、本格的な測定を行う。
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