研究概要 |
研究計画に従い以下2つの研究を平行して行った。 1)強酸性を示す新規ヘテロポリ酸触媒の開発:前年度までの研究でPreyssler型ヘテロポリ酸(H_<14>NaP_5W_<30>O_<110>)は熱安定性は低いが水溶液中で広範囲のpH領域で安定であることが明らかとなった。そこで、中心に存在するNa(+)をイオンを他のイオン(Ca(2+),Y(3+),Bi(3+),Ce(3+),Eu(3+),Lu(3+))に変換し分子全体の負電荷を変えることで安定性を向上させる試みを行った。条件検討の結果、純度良くPreyssler型ヘテロポリ酸(H_<14-n>XP_5W_<30>O_<110>)分手中にCa(2+,n=1),Y(3+,n=2),Bi(3+,n=2),Ce(3+,n=2),Eu(3+,n=2)を導入した化合物の合成に成功した。得られた化合物の水溶液中での酸強度(トリメチルホスフィンオキシドをプローブ分子)、酢酸エチル加水分解酸触媒能、およびセロビオース加水分解酸触媒能を測定し、Preyssler型ヘテロポリ酸(H_<14>NaP_5W_<30>O_<110>)および、現在、酸触媒として実績の高いKeggin型ヘテロポリ酸(H_3PW_<12>O_<40>)よりも高い酸性度を有することを明らかにした。また、元のPreyssler型ヘテロポリ酸(H_<14>NaP_5W_<30>O_<110>)より熱安定性を50度から100度程度向上させる事ができた。 2)新規ルイス酸触媒開発:ルテニウム置換Keggin型ヘテロポリ酸のルテニウムのルイス酸性の検討を行った。前年度までの研究で、ルテニウム置換Keggin型ヘテロポリ酸のルテニウムがとルイス塩基であるピリジンと反応し、ルテニウム置換Keggin型ヘテロポリ酸のルテニウムがルイス酸として機能することを明らかにできた。また、2つの化合物の単結晶構造解析に成功していた。今年度は、この単結晶構造解析をさらに行い、計5つの新規構造を明らかにした。結晶化の条件を変えることにより分子のパッキングを変えることができることを見出した。
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