本研究では、(1) 高活性を与えるモリブデン種の還元的構造変化とその役割、(2) 炭素析出失活の主要因であるMFIの強酸点を抑制したメタロシリケートの担体効果、の双方からメタン脱水素芳香族化触媒の高活性因子の追求と高耐久化を達成する計画である。平成21年度の研究において、触媒活性試験評価のための固定床流通系反応ラインの設置を完了、同時にメタロシリケートも含めた種々のゼオライト基材の水熱合成も行った。その結果、含有SiO_2/Al_2O_3組成比の異なるMFI型およびそのGa等格子置換資料の合成も成功した。これらの触媒活性試験およびMoのL殻XANESを含めたMo活性種局所構造解析の結果より、先述の研究計画(1)(2)について以下の知見を得た。(1) について、高活性を与えるMo種の還元種の条件として高度の炭化還元を受けず結晶化アルファ相の炭化モリブデンを形成させないこと(一部酸化物種残存の非晶質炭化物種の高活性種としての存在を示唆)を結論づけた。また(2) については、H-MFI担体へのGa格子置換型では高濃度のGa置換により酸性度低下を与えメタン転化活性そのものを低下させること、および(GaやWなど種々の金属イオンの)表面修飾型ではMoとの共置換により活性発現初期の転化率は抑制傾向を示す一方、活性劣化の抑制にはVなどの修飾が有効であることが明らかとなった。
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