本研究では、天然ガス石油資源化のための直接GTL(XTL)触媒の研究開発として、Mo/H-MFI触媒の高活性化および高耐久化のための構造因子並びに活性化修飾要素とその制御に主眼を置き、(1)高活性を与えるモリブデン種の還元的構造変化とその役割、(2)炭素析出失活の主要因であるMFIの強酸点を抑制したメタロシリケートの担体効果、の双方からメタン脱水素芳香族化触媒の高活性因子の追求と高耐久化を達成する。平成22年度の研究において、とくに炭素析出による失活抑制が困難なH-MFIからのメタロシリケート(Ga置換およびGa-Al共置換MFI)への変換による高耐久化効果について、とくにGaなどの置換比の効果、Al残存量の影響、およびこれらに伴う修飾Mo種の還元的構造変化について、とくに表面酸強度並びに酸量からの検討と合わせて、MFI型構造特有の強酸点の抑制による高耐久化への寄与について、触媒活性および活性種微細構造変化の両面から詳細な検討を加えた。その中でメタロシリケートも含めた種々のゼオライト基材の水熱合成も行い、触媒活性構造とその因子についての一定の知見を得た。同時に、組成比の異なるMFI型およびそのGa等格子置換資料の合成も成功し、さらにシリル化表面修飾法により失活因子であるMFI外表面炭素析出点の被覆についても検討を加えた。これらの検討から、H-MFI担体へのGa格子置換型では高濃度のGa置換により酸性度低下を与えメタン転化活性そのものを低下させること、およびMFI外表面の強い酸点を選択的に被覆するアルキルシリル化処理が高耐久化に有効であることが明らかとなった。
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