| 研究概要 |
本研究課題においては,研究代表者の田中が開発するポリ乳酸などの生分解性プラスチック多孔質膜と,研究分担者の木村の開発するヒドロキシアパタイト製ナノ粒子とを複合化させて環境調和型バイオ分離膜の開発を行った。タンパク質や抗生物質などの生理活性物質の吸着に適するように材料と操作条件(吸着・溶出)の最適化を検討した。海外共同研究者のD.R.ロイド(米国テキサス大学オースチン校工学部教授)は分離膜開発の専門家として理論的な面から,田中・木村の複合多孔質膜の開発を支援した。
本年度は,田中は前年度までに開発したポリ乳酸製多孔質膜にヒドロキシアパタイト製のナノ無機カプセルを複合化させる条件とタンパク質の吸脱着条件の検討を行った。まず,前年度までに木村が作製方法を改良したヒドロキシアパタイト製ナノ無機カプセルを用いて,タンパク質(牛血清アルブミン)および抗生物質(ゲンタマイシン)の吸脱着特性を調べた。次に田中が前年度までに開発したデプスフィルター型のポリ乳酸製多孔質膜はナノ無機カプセルの保持にも有効であった。作製したポリ乳酸製多孔質膜を複数組み合わせてヒドロキシアパタイト製ナノ粒子を複合化し,モデルタンパク質として牛血清アルブミンを用いて吸着特性とリン酸緩衝液による溶出特性を検討した。本研究課題の研究成果の一部を化学工学会第43回秋季大会(平成23年9,月)にて発表した。平成23年10月以降の研究成果については化学工学会第44回秋季大会(平成24年9月)にて発表予定である。デプスフィルター型のポリ乳酸製多孔質膜の作製方法と粒子保持形式,および分解特性の研究に関してはJournal of Membrane Scienceに発表した。
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