まず研究代表者が開発に成功している同一種センサ型のマイクロスケール化学センサアレイを用いてケミカルイメージングの基礎検討を行った。pHセンサアレイはDLC(ダイアモンド様カーボン)で被覆されたガラス上にアミノ基を導入した基板にpH応答性蛍光色素であるFITCをスポット径10μmでマイクロコンタクトプリンティングして作製した。酸素センサアレイは、上述の基板でアミノ基の代わりにSO3基を導入した基板にナフィオンに溶解させたルテニウム錯体を同様にマイクロコンタクトプリンティングして作製した。また多様な倍率での蛍光イメージングを可能にするために、ユニバーサルズーム顕微鏡(5X~400X)[本年度設置]に高速共焦点スキャナユニットを装着した測定システムを新たに構築した。 次にマイクロコンタクトプリンティングを複数回繰り返すことで一つのチップ上に複数種のバイオケミカルセンサを形成した。本年度はpHセンサと酸素センサ、グルコースセンサと乳酸センサの集積化をそれぞれ行った。前者は40μmピッチで10μm径の酸素センサアレイをマイクロコンタクトプリンティングしたのち、20μmずらしてpHセンサアレイをスタンプして作製した。後者はユーロピウムテトラサイクリンを用いた10μm径の過酸化水素センサアレイをマイクロコンタクトプリンティングにより20μmピッチで作製した後、その上に、グルコースオキシダーゼと乳酸オキシダーゼを交互にスタンプして、架橋剤のグルタルアルデヒド雰囲気下で架橋することで、グルコースセンサと乳酸センサを集積した。各センサの応答の独立性を評価したところ、pHセンサと酸素センサ、グルコースセンサと乳酸センサ、のいずれにおいても極めて近接しているにもかかわらず応答の独立性が確認できた。
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