本研究では、培養面にコーティングした機能物質より、多能性幹細胞(ESやiPS細胞)に由来する胚様体(embryoid body : EB)の分化状態をコントロールすることを試た。EBのサイズについては、機能物質の種類関わりなくほぼ同じ大きさとなった。0. 5%-および10%-PLで形成したEBでは心筋への分化率が低く、MPCでは分化率が高かった。中胚葉系マーカー遺伝子α-MHCおよび内胚葉系のマーカ遺伝子TTRの発現率は、MPCにおいて高く、PLでは低かった。しかし、継代培養時の細胞状態が、EB形成に大きく影響するため、培養表面の機能物質影響を正確に評価することは困難であった。このため、実験に供する細胞の質をコントロールすることの重要性が再認識された。
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