研究概要 |
昨年までの研究で濃縮効果をSDS電気泳動で確認できたが、実際微量成分を検出・同定するには二次元電気泳動で確認する必要がある。そのために標準タンパク質として、アルブミン、CAD,βーガラクトシダーゼ等を用いて検討を始めたのであるが、通常の方法で二次元電気泳動にかけたところ、一次元目の分離が悪く、横線が引いたような画像となり濃縮効率を定量的に解析することが困難となった。これは通常の大腸菌や、ガン細胞、酵母等から得られる画像とは全くことなり、その解明に時間がかかった。解明操作の結果、タンパク質の可溶化が不十分であることが原因の一つであることが明らかとなった。さらに、それを改善することにより、画像の横線の現象が軽減された。しかしまだ横線が少し残っており、この点の改善を試みている。 さらに画像処理の改善を試みたところかなりの進展が見られた。すなわちPichia Pastorisにより、一本鎖抗体を生産する培養を行い、その増殖・生産フェーズの画像解析を行ったところ、増殖フェーズと生産フェーズのVolume値の相関係数がそれぞれのデータのみで得られた相関係数と比べて大きく低下することがわかった。又大腸菌BL21で遺伝子組み換え操作を行った際も、操作を行う前後の相関係数は0.85とそれぞれの相関係数(いずれも0.95程度)と比べて低下することを確認した。この相関係数を求める前に2つの画面を色違いで表示し、それぞれの対応関係を簡単に確認するなど、また相関係数表示画面でも対応するタンパク質スポットの確認をスムーズに行えるようにすることにより、目視判断より遙かに迅速かつ正確に全体の相関、および特異スポットの検出が可能となった。
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