パラフォイルは、円形パラシュートに左右対称な翼形状を与えて進行方向制御を可能としたものである。各種の飛行体を回収するための手段としてパラシュートに代わるものとして極めて有用であり、パラフォイルによる自律的滑空・回収システムの構築が期待されている。その自律的誘導則・制御側を構築するには、パラフォイルの飛行特性を解明する必要があり、それには、風洞試験や曳航実験によるよりも、飛行実験を系統的に多数実施することが肝要である。そこで、本研究課題は以下のことを目的とする。 1)飛行実験を系統的に多数実施することを通して、パラフォイルの飛行特性を解明する。 2)これをもとにして自律的誘導則・制御則を予備的に構築し、その妥当性を飛行実験によって検証する。 昨年度、パラフォイル射出の際に角速度計測が一時的にレンジオーバーとなることから飛行経路同定の精度劣化が確認されたため、今年度は角速度計測のレンジを拡大することで対処した。取り扱いの容易な翼幅1m級のサブスケール・パラフォイル機体に航法計測機器(エアーデータセンサーおよび慣性センサー)を搭載して、風等の外乱を受けない屋内において飛行実験を実施した。無線操縦によって飛行させ、機上計測データから飛行経路および空力係数を推定し、概ね良好な結果を得た。また、パラフォイルの飛行を2台のビデオカメラで撮影し、その動画を解析することによっても飛行経路を同定した。さらに、パラフォイル飛行の数値シミュレーションコードと予備的な誘導則を試作した。
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