構造設計においては材料そのものの不確定性と、その構造に起因する不確定性を評価することが必要である。構造特性は静的な強度や空力弾性現象に対する特性が評価の対象となる。複合材構造は、軽量構造としての大きな利点が期待され、今後さらなる実機への適用の拡大が見込まれるが、金属構造に比べて材料そのものに、より不確定性を含むことが考えられる。したがって、その設計においては不確定性の影響を受けにくい構造形態が望まれる。そのためには、不確定性の評価が不可欠である。これらの評価法を検討するため、まず、実際に起きる剥離現象についての解析を、圧電素子を張り付けた梁について試みた。構造的な剥離の不確定性が素子の性能にどう効いてくるかを見出し、剥離領域と性能の関係を明らかにした。また、複合材強度評価法を実用機の単純な構造を適応対象とすることを狙い、国産機として採用が計画されている尾翼の複合材構造製造法がVacuum Assisted Resin Transfer Molding(VaRTM)と呼ばれる新製法であり、この構造に対して材料特性の不確定性の評価がどのように効くかを明らかにするために、そのベースとなる材料データを取得し、不確定性の感度を把握した。更に、空力弾性現象に対する構造パラメータの検討例として、双尾翼の干渉フラッタについて解析および実験を行い、翼形状および取り付けパラメータの感度を明らかにしするとともに、風洞実験時に推定法の評価ために、ウェーブレット変換を用いたフラッタ速度推定法を適用しその信頼性の評価を行った。
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