新たなフラッタ現象の推定法である経験的モード分解法について、その推定精度について実際のフラッタ風洞試験データを使って不確定性を検証し、その推定法が減衰値を使う方法やARMAモデルを仮定した推定法などより、サブクリティカル応答から精度よくフラッタ限界速度を予測出来ることを明らかにし、結果を纏めた。 不確定性を考慮した強度評価法を、実用機の新製法である樹脂含浸複合材製造法Vacuum Assisted Resin Transfer Molding(VaRTM)で製造された試験片に適用し、この試験片の衝撃強度に対する構造不確定性の評価を、実験から得られた材料強度および材料靭性値を材料特性として用いた数値シミュレーションにより検討し、解析的に扱える可能性を示した。 また、同じ手法で製造された試験片に対し、吸水、乾燥繰返しによる強度劣化について、樹脂の劣化が表れ始めるまでの実験データに基づき、不確定性の理論的扱いを平成22年度において検討した。平成23年度には、さらなる繰返しによる実験データを取得し、長時間の吸水環境においては樹脂の溶解が見られることを明らかにした。一方で、太陽光を対象とした耐環境劣化試験も行い、樹脂の劣化データを得た。また、VaRTM法で製造した平織積層板について、板厚方向の電気特性を改善するため、樹脂に炭素系の介在物を混入させて層間に塗布し、その導電性を調べた。これを理論的に扱うために樹脂の導電性に対して、混入粒子同士の確率的接触についての解析モデルを作り数値シミュレーションを行う方法を考案した。改善結果としては、塗布することにより繊維接触が減少し良い改善を得ることが出来ず課題を残した。
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