研究概要 |
パルスデトネーションエンジン(PDE)は,熱力学的サイクルはガスタービンより高効率である.しかし,連続流用発電タービンを組み合わせた現状装置では,脈動流ために効率は数%でかなり小さいことが問題である.本研究は,PDEの熱力学的高効率性と高速脈動気流特性をそのまま生かせるものとして,PDEと翼の共振を組み合わせた新しい発想のPDEフラッタ発電装置を提案し,環境適合型の高効率な発電システム装置を試作することを目的とする.この際,発電には超音速複葉翼を用いる.この翼は,現在,大林ら(東北大学)が航空分野におけるサイレント航空機翼として研究を行っていることに密接に関連しており,非定常衝撃波を相殺しうる低抗力3次元翼形状を実験的に検討することを含む.本研究は3カ年計画である.初年度である本年度は,PDFE実験を安全に行うための準備段階として,非燃焼PDFE実験装置の基本設計と製作(1),(2)および流れ場計測の基礎システム構築(3)を行い,基礎データを蓄積する計画とした.(1)の「衝撃波管による非燃焼超音速脈動気流の発生システム」については,本体部分はほぼ完成したが,脈動気流発生用ロータリーバルブを現在設計中であり,次年度において引き続き(1)を完成する.(2)の「Busemann翼を用いたフラッタ発電システム」について,流体力学的数値計算法を用いて基礎となる翼形状を決定した.翼基本形状は,翼弦長50mm,翼幅50mm,翼弦比5%を基本とし,50mm×50mmの測定部に設置する.(3)の「流れ場の衝撃波構造ならびに速度場の分布の計測(シュリーレン可視化装置および画像粒子流速測定装置(PIVシステム)による)」については,振動する翼のPIV計測装置を構築した.以上のように,システムを完成させるまでには至らなかったが非燃焼超音速パルス発電の基本となる各部分はほぼ製作完了した.次年度においてシステム全体を組み上げ実験データを収集し,フラッタ特性データ等を収集する.
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