研究概要 |
本年度は,本研究の最終年度となる.デトネーション駆動往復発電装置を試作し,発電の可能性を検討することが目的であり以下の成果を得た.なお,当初はBusemann翼を振動させ発電することを計画したが,パルス流が数回しか実現できないため,円柱形状のネオジウム磁性体を駆動することに計画変更した。かつ,Busemann複葉翼の衝撃波相殺効果は別の衝撃風洞を用いて確認した。 (1)自作のデトネーション管発電実験装置により,単一パルスで水素-酸素,メタン-酸素混合気を用いて当量比変化させ,ネオジウム磁石を駆動して発電量を測定した.その結果,限定された条件ではあるが,磁石長70%の銅線コイルを約30m/sで通過させる条件で最も大きな発電量8.4Ws/mを得ることができた.これは,燃焼エネルギーの8%に当たり,従来のパルスデトネーションタービンエンジン効率の6倍程度以上を実現できた。今回はネオジウム磁石飛翔体およびコイルを巻き付けたパイプの間に隙間があり,かつ可視化実験も兼ねた試験的発電のため,今後はパイプ材料をセラミックにするなどの改良でより効率の向上が期待できる。 一方,超音速脈動気流による往復動は,数回は可能であるが定常運転までには至っていない. (2)Busemann複葉翼の衝撃波相殺効果については,上記のデトネーション管とは別に,衝撃風洞により,シュリーレン可視化法によって調べた.結果として,半頂角5.7度,最大翼厚3mm,翼弦長60mm,翼幅40mmの複葉翼をマッハ数2の超音速流で試験した場合に翼間距離50mmで衝撃波の相殺効果を確認できた. 以上のように,本研究では,デトネーションと磁性体の直進運動による発電という,従来にない発電装置を提案し,水素-酸素を用いた低炭素高効率発電装置の開発の可能性を提示できた。また,Busemann複葉翼の衝撃波相殺効果は衝撃風洞で確認できた。
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