| 研究概要 |
宇宙膜面構造物の基本構成要素である膜材を対象に、所望の形状計測精度要求を満たす光学的計測法を確立することを試みている。膜面構造の静的および動的数値解析手法の妥当性を示すために、高速かつ高精度で簡便な形状計測法の確立を目指すものである。
本研究に用いた光学的形状計測法は、液晶プロジェクタから正弦波格子を物体に投影し、CCDカメラで撮影された格子画像から位相を求める。すべての画素において,周囲の画素の輝度変化の情報を使わずに位相値を求めることができる「位相シフト法」と,基準面の情報をテーブル化することでリアルタイムに形状計測が行なえる「全空間テーブル化手法」とを組み合わせることにより高速な計測を実現した。また,位相を接続することで、計測精度を維持しながら計測範囲を拡張する手法も取り入れた。
宇宙用膜材として代表的であり,特に宇宙用の大型パラボラアンテナ反射面に多く使われる金属メッシュ面は,高い形状精度を要求されるにもかかわらず光学的透過性が高いために光学的計測をしにくい材料である。先ず,メッシュ試験片を用いた計測精度の検証を行う基礎実験を実施した。次に,実際の宇宙用メッシュアンテナ開発に用いられたモデル(電波試験用のφ1.5mパラボラ反射面)を計測対象にして,上述の格子投影法を用いることにより,大領域の計測と深い形状変化のあるものの計測ができること,および1分間程度の短時間で高精度計測できることを示した。金属光沢をもつ実際のメッシュ膜面を,面として短時間に精度良く計測できる手法にできることがわかり,将来の大型宇宙構造物のメッシュ膜面形状の搭載型計測装置の可能性が広がった
また、膜面リンクル計測実験および動的挙動リアルタイム計測実験の準備を行った。
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