研究概要 |
今年度は,主に小型ソーラー電力セイル実証機IKAROSで用いられた四角折り膜面について,別途実施した小型膜面モデルの真空槽内遠心力展開実験結果と比較して,多粒子系モデルの改良を行った.IKAROSは2010年5月に打ち上げられ,2010年6月にソーラーセイル膜面の遠心力展開を実施したが,その軌道上展開挙動の理解に資するためである.四角折り膜面の展開挙動においては,膜の座屈強度だけでなく折り目や接触の影響が大きく,原理的に展開中に非対称形状が発生しやすい.そのため,多粒子系モデルに対して昨年度導入した座屈強度と折り目剛性のモデルを,実験結果と比較してチューニングできるように修正した.また,折り目の周りでの膜同士の接触を考慮するため,折り目剛性モデルに対して接触に伴うペナルティ係数を掛けるように改良した.そして,折り目間隔の異なる二種類の小型モデルの真空槽展開実験に対応した数値シミュレーションを実施した結果,展開中の非対称形状や折り目を表現することができ,シミュレーション結果が定性的に妥当であることを確認した.また,パラメータをチューニングすることにより,数値シミュレーション結果が実験結果に近づくことを確認した. また,遠心力で展張される膜面の強制加振による振動モードの計測のため,別途導入した真空対応小型動電型加振器,ファンクションジェネレータおよびステンレス製矩形真空槽を利用した真空槽内の回転膜面加振機構を製作した.今年度は,装置の製作と組み立て,動作確認など,強制加振実験のための準備を行った.
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