研究概要 |
本研究では,これまでに行ってきた研究を基に,最短時間着桟操船制御をGPUコンピューティングを用いて実現するための計算モデュールを作成し,実時間で最適化計算を行うブロックや,非線形フィードバック構造を持ったニューラルネットワークを併用することを前提に,船体の非線形運動モデルを用いた並列シミュレーションベースト予測制御系のグラフィックハードウェアによる実現法(GPGPU)の実現を目指している. 具体的には,研究を 「最短時間着桟操船制御解の導出をGPUコンピューティングに基づいて実施する計算モデュールの作成」「船体の非線形運動モデルを用いた並列シミュレーションベーストコントロールシステムのグラフィックハードウェアによる実現」, 「グラフィックハードウェアによる並列計算の併用による制御系の高性能化」の3つの目標を設定して行う. 本年度は,並列シミュレーションで用いる船体の非線形運動モデルの精度が制御性に及ぼす影響を評価し,運動モデルのパラメータを実験時の船体運動をより正確に再現するように最適化することで,制御性能の向上を目指した.最適化したモデルの有効性はそのモデルに基づく非線形予測制御による実船実験で評価した.具体的には, a)非線形船体運動モデルに含まれる多くの物理パラメータの中から船体運動の予測に大きな影響を及ぼすと考えられるパラメータを選定し,多目的最適化プログラムを用いてこれまでに行った洋上実験時に記録した操舵やプロペラピッチの制御,船体運動データに一致するようにパラメータチューニングを行った. b)上記手法で最適化された船体の非線形運動モデルを用いた並列シミュレーションに基づく制御アルゴリズムの性能をシミュレーションで評価するとともに,GPUボード内臓ノートパソコンに実装,実船実験を行い,制御性能が向上することを確認した.同時に,制御アルゴリズムの改良も試み,最終年度のまとめの方向性を決定した.
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