研究概要 |
[研究目的]本研究は,計測のためのアクセスが困難な場所で,航行中の船舶の構造部材のひずみ,変形などを計測する実用的な計測装置を開発することを目的とする.具体的には設置スペースや作業の繁雑さを気にせず構造部材各所に簡単に取り付けられ,小型で耐久性がある薄型の筐体に,圧電材料を使用したひずみ,加速度,変形センサと信号処理回路,電源を内蔵し,構造物に接着して使用でき,計測した情報を処理・通信する機能を持つ計測システムを実現することを目的とする. [実施内容]平成22年度までの圧電ひずみセンサ開発を受けて,平成23年度は,ひずみセンサ用の信号処理回路,および,計測システムの開発を主に実施した.具体的な項目を以下に示す. 1.ひずみ履歴計測アルゴリズムの改良と,計測した情報および制御指令を送受信する有線及び無線通信手法の開発,2.アクセス困難な箇所における電力取得方法の開発として,圧電セラミックスを用いた発電回路作製と発電条件の解明 [研究成果]本年の成果を以下に示す. 1.昨年度開発したマイクロコントローラによるひずみ履歴計測システムについて,低周波信号の計測に対応可能とするようアルゴリズムを改良し,実験によって1Hz程度の低周波変動ひずみが計測可能であることを確認した.また,RS-232Cを使用して2つの計測システム回路間で計測結果を有線で送受信すること,無線でPCに計測結果を送信可能な試作回路を開発した.2.計測に使用する圧電セラミックスを使用し,セラミックスのひずみ-電荷変換機能を利用した発電回路を試作し,システムに使用するマイクロコントローラの電源電圧に必要な発電条件を実験で明らかにした.
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